2023.12.13

テクノロジー

歯科医院のキャッシュレス決済導入の現状は?5つのメリットも解説

「歯科医院にはどの程度キャッシュレス決済が広がっているのだろう」
「キャッシュレス決済を導入する際のポイントを知りたい」
「キャッシュレス決済を導入すると何がいいの?」

上記のような疑問や悩みを抱いている人もいるでしょう。

この記事では、広まりつつある歯科医院へのキャッシュレス決済導入について解説します。導入する際のポイントやメリットを詳しく紹介しているので、歯科医院関係者は必見です。
近年、医療業界でもキャッシュレス決済を導入する動きが加速しています。政府も導入を推進しており、今後さらに需要が増えていくでしょう。

目次

  1. 医療業界のキャッシュレス決済のニーズと導入状況
    • 1-1.キャッシュレス決済のニーズは年々高まっている
    • 1-2.医療業界のキャッシュレス決済の導入状況
  2. 歯科医院にキャッシュレス決済を導入する5つのメリット
    • 2-1.会計業務を効率化できる
    • 2-2.他院との差別化がはかれる
    • 2-3.会計ミスや治療費未回収のリスクを減らせる
    • 2-4.非接触型決済による感染症対策が期待できる
    • 2-5.患者の満足度向上が期待できる
  3. 歯科医院でキャッシュレス決済を導入する際の3つのポイント
    • 3-1.導入する決済方法を決める
    • 3-2.初期費用とランニングコストを計算する
    • 3-3.レセコンと決済端末が連携可能かどうか確認する
  4. 歯科医院にキャッシュレス決済を導入するまでの手順
  5. まとめ「歯科医院でもキャッシュレス決済を導入しよう」

1.医療業界のキャッシュレス決済のニーズと導入状況

IT技術の進歩により、さまざまな業界でキャッシュレス決済の導入が加速しました。特に医療業界では、感染防止の観点から非接触で支払いができるキャッシュレス決済のニーズが高まっています。
医療業界のキャッシュレス決済のニーズと導入状況を見ていきましょう。

1-1.キャッシュレス決済のニーズは年々高まっている

医療業界のみならず、さまざまな業界でキャッシュレス決済のニーズが年々高まっています。利便性に加え、国としてもキャッシュレスを推進していることが背景に挙げられるでしょう。

経済産業省は、2025年までに国内のキャッシュレス決済普及率40%を目標に掲げています。将来的には80%の普及率を目指しており、今後もキャッシュレス決済の需要は高まっていくと考えられます。1

1-2.医療業界のキャッシュレス決済の導入状況

厚生労働省の発表している、医療機関のキャッシュレス決済導入率の変化を以下のグラフにまとめました。2日本市場の2022年のキャッシュレス決済比率は、36.0%と発表されています。3医療業界も年々増加傾向にありますが、ほかの業界と比べると導入が遅れているのが現状です。

日本のキャッシュレス決済の需要は、2008年の11.9%から2021年の32.5%まで約2.5倍に増加しています。4「非接触」が注目されて一気に利用者が増えたキャッシュレス決済の需要に、医療業界はまだまだ追いついていません。

2.歯科医院にキャッシュレス決済を導入する5つのメリット

歯科医院にキャッシュレス決済を導入するメリットは、以下の5つです。

  • 会計業務を効率化できる
  • 他院との差別化がはかれる
  • 会計ミスや治療費未回収のリスクを減らせる
  • 非接触型決済による感染症対策が期待できる
  • 患者の満足度向上が期待できる

1つずつ詳しく解説するので、キャッシュレス決済を導入する際の参考にしてください。

2-1.会計業務を効率化できる

キャッシュレス決済であれば、現金のやりとりがないので、会計時間が短縮しレジ業務を効率化できます。キャッシュレス決済を利用する患者が増えれば、両替や釣り銭準備の手間もはぶけるでしょう。
患者側としても会計がスムーズに済むため、待ち時間によるストレスを感じにくくなります。

スタッフとしても、手間がかかっていた会計作業の負担が減るのは喜ばしいことでしょう。スタッフの負担が減ることで、定着率や生産性が向上し、医院の運営にもプラスになります。

2-2.他院との差別化がはかれる

キャッシュレス決済は患者側のニーズが高いものの、導入している歯科医院がまだまだ少ないのが現状です。つまり、キャッシュレス決済を導入することで他院との差別化がはかれるでしょう。

若い世代を中心に、現金を持ち歩かない人は増えつつあります。キャッシュレス決済が可能なことが、歯科医院を選ぶ決め手になる可能性も十分考えられます。

2-3.会計ミスや治療費未回収のリスクを減らせる

キャッシュレス決済を導入することで、歯科医院と患者双方の会計トラブルを減らす効果が期待できます。
現金決済では、以下のようなトラブルが発生することがあるでしょう。

  • 患者に代金の持ち合わせがなく、治療費を次回に持ち越す
  • レジの打ち間違いや、釣銭の計算ミスが発生する
  • 会計作業に時間がかかり、会計待ちの患者がフラストレーションを溜める

このような金銭トラブルや患者のストレスも、キャッシュレス決済の導入によりリスクを減らすことが期待できます。

2-4.非接触型決済による感染症対策が期待できる

キャッシュレス決済の導入が一気に進んだ背景として「非接触」の観点も見逃せません。キャッシュレス決済では、患者とスタッフが現金に触れることなく決済を完了できるため、感染症対策になります。

また、会計時間が短縮できれば院内の滞在時間が減ることも、感染症対策に寄与するでしょう。

2-5.患者の満足度向上が期待できる

キャッシュレス決済の導入は患者の満足度向上や、結果としてリピーターの獲得が期待できます。
キャッシュレス決済によって患者の満足度の向上が期待できる理由は、以下のとおりです。

  • 会計手段を選べる:患者がいつも使っている決済手段で会計できる
  • 会計がスムーズ:診察後の待ち時間が短縮される
  • 非接触で会計できる:感染リスク防止になる

キャッシュレス決済を導入して、患者から選ばれる歯科医院を目指しましょう。

3.歯科医院でキャッシュレス決済を導入する際の3つのポイント

歯科医院でキャッシュレス決済を導入する際のポイントは、3つあります。

  • 決済方法の種類を決める
  • 初期費用とランニングコストを計算する
  • レセコンと決済端末が連携可能がどうか確認する

それぞれ詳しく解説します。

3-1.導入する決済方法を決める

一口にキャッシュレス決済といっても、その種類や特徴はさまざまです。それぞれ特徴が異なるので、導入前にリサーチしておきましょう。以下の表に主な決済方法の特徴をまとめたので、ご覧ください。

決済方法代表例特徴
クレジットカード決済Visa,JCB,Mastercardキャッシュレスの代表的な決済方法。日本で広く普及しており、利用できる店舗が多い。
デビットカード決済銀行系カード,国際ブランド系カードカードを使うと登録している口座から利用額が引き落とされる仕組み。
電子マネー決済Suica,WAON,nanaco後払い型と前払い型の2種類から選べる。交通機関で利用できる決済方法もあり、利用している人も多い。
QRコード/バーコード決済LINE Pay,PayPay,楽天ペイ後払い型と前払い型の2種類から選べる。スマホだけで気軽に決済できるため、利用者が増加している。

決済方法が豊富であるほど、利用者の利便性は上がります。利用者の満足度をあげるためにも豊富な決済手段を用意するのがおすすめです。

ただし、手当たり次第に導入するのではなく、患者の年齢や地域による特性を考慮して必要なものを導入しましょう。

3-2.初期費用とランニングコストを計算する

キャッシュレス決済を導入する場合は、コスト面も考慮しなければなりません。キャッシュレス決済の導入にかかるコストは3つあります。

  • 初期費用
  • 月額費用
  • インターネット通信費用
  • 決済手数料

初期費用は、決済端末を導入する費用です。数万円程度の機器が多く、決済手段によっては端末代がかからない場合もあります。
また、ランニングコストとしてかかるのが月額費用や通信費、決済手数料です。月額費用は1万円前後のところが多く、中には無料のサービスも存在します。

キャッシュレス決済はインターネット環境が必須であるため、通信費や必要に応じて回線工事費などが必要です。
そのほかに利用度合いに応じて、約3%の決済手数料がかかります。種類によって多少の違いがありますが、3%前後に設定している会社が多い傾向にあります。導入する決済方法はよく選ぶ必要があるでしょう。

3-3.レセコンと決済端末が連携可能かどうか確認する

レセコンと決済端末が連携できるかどうかは、必ず確認しましょう。レセコンと連携できない端末の場合、決済金額を直接入力する必要があります

手入力ではミスが発生する可能性が高まるため、キャッシュレス決済を導入しても会計業務の効率化を図れません。
キャッシュレス決済のメリットを十分に得るためにも、レセコンと決済端末が連携できるかどうか確認しましょう。

4.歯科医院にキャッシュレス決済を導入するまでの手順

歯科医院にキャッシュレス決済を導入する手順は、以下のとおりです。

  1. 導入するキャッシュレス決済方法を選ぶ
  2. キャッシュレス事業者と契約する
  3. スタッフに操作方法や支払い時の対応などを教育する
  4. 患者に導入した旨を周知する

決済方法や業者によって若干異なりますが、大まかな導入手順は同じです。
キャッシュレス決済の導入時には、サービス提供者から配布されるマニュアルをスタッフに配布し、操作方法を覚えてもらいましょう。トラブル時に対処できるよう、院長もしっかりと手順を把握しておくことが大切です。

キャッシュレス決済の導入が決まったら、院内の掲示やHP・SNS等で患者に周知をしましょう。
導入する決済方法は、患者の年齢や職業などを考慮して、患者にとって使いやすいものを選びましょう。導入に不安がある場合は、親身になって相談にのってくれる業者を選ぶのがおすすめです。

導入した後は、スタッフの教育や患者への周知が必要です。導入までにかかる期間を逆算して、しっかりした準備を進めてください。

5.まとめ:歯科医院でもキャッシュレス決済を導入しよう

キャッシュレス決済の需要は年々高まっていますが、歯科医院を含む医療業界では、導入が十分に進んでいるとは言えません。

コストがかかるので導入を迷っている経営者も多いですが、キャッシュレス決済の導入は長期的にみればメリットが大きいです。患者の満足度向上によるリピート率向上や、スタッフのミスが減ることによるコスト削減が期待できます。

患者やスタッフの満足度をあげれば、歯科医院の利益にもつながるのでキャッシュレス決済の導入をぜひ検討してみてください。

  1. 経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」
    https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180411002_02.pdf ↩︎
  2. 厚生労働省 2018年〜2022年「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書」
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000564528.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000631902.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000940326.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000956428.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001126229.pdf ↩︎
  3. 経済産業省「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました」
    https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html ↩︎
  4. 一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2022」
    https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180411002_02.pdf ↩︎

関連記事