2023.12.13

経営

歯科医院ができる差別化要素8選|集患や収益を増やすコツを徹底解説

「歯科医院ができる差別化要素はどんなもの?」

「これから歯科医院を始めようと思っているけど、他院と差別化できるポイントが思いつかない」

などとお悩みの経営者や、開院を目指す歯科医師は多いでしょう。競合の歯科医院が多くある中で自院が選ばれるためには、他院との差別化が必要です。

この記事では、歯科医院が行うべき8つの差別化要素を徹底解説。開業前に検討すべきことや、開業後でも改善ができる要素を紹介します。差別化に悩んでいる歯科医師や経営者は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. 歯科医院の差別化要素8選
    •  1-1 医院の立地
    •  1-2 医院の運営規模
    •  1-3 地域における認知度
    •  1-4 診療の質
    •  1-5 診療の価格
    •  1-6 医院の情報発信
    •  1-7 スタッフの接客
    •  1-8 患者の固定化
  2. 自院の強みを把握するための3つの分析手法
    •  2-1 3C分析
    •  2-2 4P分析
    •  2-3 SWOT分析
  3. 増収を狙うなら収入の柱を複数持つことがポイント
  4. まとめ:歯科医院の差別化にマーケティングは必須

1.歯科医院の差別化要素8選

歯科医院を経営するうえで、他院との競争に勝つためには差別化戦略が必要です。歯科医院ができる差別化要素には、以下8点が挙げられます。

  1. 医院の立地
  2. 医院の運営規模
  3. 地域における認知度
  4. 診療の質
  5. 診療の価格
  6. 医院の情報発信
  7. スタッフの接客
  8. 患者の固定化

以下で詳しく解説するので、チェックしてみましょう。

1-1 医院の立地

歯科医院が通いやすく、目に入りやすい場所にあれば、多くの集患を狙えます。日本歯科医師会が行った調査では、アクセスのしやすさが歯科医院で受診するきっかけになり得ることが指摘されています。1

患者にとってアクセスしやすいエリアといえば、下記のような場所が挙げられるでしょう。

  • オフィス街
  • 駅前
  • ショッピングモールなどの商業施設
  • 住宅街

ファミリー層やビジネスパーソンなど、ターゲット属性によって開業に適した地域が変わります。また、立地ごとに賃料や建設費も変化します。ターゲット選定から狙う単価、利益率も考慮しながら、立地を選ぶ必要があるでしょう。

1-2 医院の運営規模

開業前なら、運営規模もよく検討しましょう。この場合の運営規模とは、想定売上や医院の広さのことです。開業後に運営規模を変更するのは難しく、開業時点で失敗すると将来の施策に制限がかかってしまいます。

資金の都合上、初めは小規模での開院となる場合でも、のちに施設を拡張する予定ならそれを見越した物件選びが必要です。たとえば、将来的にインプラント機器などの高価な設備を導入するなら、あらかじめスペースを確保しなければなりません。経営が軌道に乗った後、チェア台数を増やしたい場合も同様です。

運営規模は直接的な差別化にはなりにくいですが、施策の自由度に間接的な影響を与える重要な項目です。

1-3 地域における認知度

歯科医院の集患を進めていく中で、地域における認知度は重要です。認知度はブランド力とも言い換えられ「この歯科医院に行きたい」と患者に思わせるような魅力の有無が関係します。歯科医院のブランドを高めるには、以下を明確化すると良いでしょう。

  • ターゲット
  • 選ばれる理由
  • キャッチコピー

歯科医院を選ぶとき「前から名前は知っていたから」「なんとなく良さそうだったから」という理由で訪れる人は多くいます。一見患者の気まぐれのようにも見えますが、認知やブランド力が意思決定に影響を与えている良い例と言えます。

1-4 診療の質

歯科医院の差別化をさらに図るには、診療の品質を高めることが大切です。これまでの要素は開業後に操作するのが難しいですが、診療の質は開業後でも努力次第で改善できる要素です。

診療の質を改善するには、以下の方法が考えられます。

  • 特定領域に特化する
  • ニーズの高い治療方法に注力する
  • スタッフのスキルを向上させる

得意分野を活かし、特定領域に特化することは効果的な差別化戦略です。「○○といえばここ」と一度ポジションを確立できれば、安定的な集客が期待できます。

審美歯科やインプラント治療、訪問診療などニーズの高い治療方法に対応するのも良いでしょう。他院に先駆けて導入できれば、先行者優位を得られます。

前提として、治療の質を上げるにはスタッフのスキルアップが必須のため、教育も欠かせない要素です。

1-5 診療の価格

診療価格も、イメージしやすい差別化要素の一つです。安易な値下げは値下げ競争を生むだけでなく「安かろう悪かろう」と不信感を生む原因となるので、得策ではありません。かといって治療費が高すぎても、患者は負担に感じ、他院に流れてしまう可能性があります。

診療価格の設定は、競合との差異や自院のコンセプトなどと照らし合わせて決定する必要があります。

診療の質を売りにするなら、他院より多少価格が高くとも質の担保になり、納得感が生まれます。一方で、通いやすさを重視するなら、リーズナブルさを訴求するのが効果的です。

1-6 医院の情報発信

情報化社会の現代では、ほとんどの患者は来院前に医院の下調べをするでしょう。そのため、まずはホームページをしっかりと整え、自院の価値を伝えることが重要です。

具体的には、コラム記事で役立つ情報を掲載したり、SNSで日頃の自院に関する情報発信を行ったりすることを指します。

ホームページはマストとして、近年ではSNSでの集客が盛んになっていることから、SNSの併用も積極的に検討しましょう。

1-7 スタッフの接客

スタッフの接客態度も差別化要素になります。スタッフの接客態度は口コミで広まりやすく、来院を検討している患者の印象にも少なからぬ影響を与えます。

診療の質は高くても、患者のスタッフに対する印象が悪ければ玉に瑕です。通常時の接客態度はもちろん、トラブルが発生した際の対応方法なども教育しましょう。

患者に寄り添った接客以外にも、清潔感や院内の雰囲気に合った服装など、基本的な身だしなみにも気を配ることも大切です。

1-8 患者の固定化

安定して集患し続けるには、患者の固定化が必須です。さまざまな来院理由の中でも最も固定化につなげやすいのは、定期チェックによる受診だといえます。実は、多くの人が虫歯の予防を重要と考えているものの、実際に定期チェックを受けている人は約半数以下です。

定期チェックを受けた患者の多くは、口腔問題の解消を実感しています。また、口腔内の健康だけでなく、自分の総合的な健康状態や睡眠の質に関しても高い満足度を得られているようです。2

来院した患者に対して、定期チェックを受けるメリットを正しく伝えることで、リピート率の向上を目指せるでしょう。

2.自院の強みを把握するための3つの分析手法

効果的に差別化を図るには、マーケティングの分析手法を使うのが有効です。自院の強みを把握するために利用できる分析手法を3つ紹介します。

  1. 3C分析
  2. 4P分析
  3. SWOT分析

それぞれ詳しく解説します。

2-1 3C分析

3C分析とは、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自院(Company)の3つの視点で市場を分析する方法です。具体的には、以下のような観点でそれぞれの状況を分析します。

分析視点分析内容
顧客患者が求めているものは何か?
競合他社他院の強みは何か?
自院自院の強みや患者からの評価は何か?

それぞれの分析結果から、治療内容や院内の雰囲気など、競合他院に勝てる自院の強みを多角的に考えてみましょう。3C分析は市場への参入可否の判断や、マーケティングの方向性を定める際に有用な手法です。

2-2 4P分析

4P分析とは、以下4つの観点から、マーケティングの具体的な施策を練る手法です。

  • 商品(Product)
  • 価格(Price)
  • 場所(Place)
  • 販促活動(Promotion)

それぞれの具体的な分析内容は、以下の通りです。分析をする際は、下記の順番で行うのが望ましいとされています。

分析視点分析内容
商品サービスどのような診療や治療を提供するのか?
価格診療や治療をいくらで提供するのか?
販売方法診療や治療をどのような流れで行うのか?
販促活動どのように患者に広報していくのか?

自院が提供する診療や治療サービスを分析して、市場との比較を行います。重要なのは、各Pの分析結果の整合性が取れていることです。スタッフと4P分析を行う際は、自院のコンセプトなどを共有しながら、全員が同じ方向を向いて考えることが重要です。

2-3 SWOT分析

SWOT分析とは、自院の内部環境と外部環境を、それぞれプラスとマイナスの観点で分析する手法です。具体的には、以下のマトリックス図を用いながらそれぞれのマスを埋めていきます。

プラス面マイナス面
内部環境強み(Strength)弱み(Weakness)
例:最新の治療器を置いている丁寧に接客している例:診療時間が長い治療費が高い
外部環境機会(Opportunity)脅威(Threat)
例:駅から近い他院に比べ診療の質が高い例:近隣に新たな歯科医院ができた

強みだけでなく、弱みや脅威も分析することになるため、今後の改善点を見つけやすくなります。プラスとマイナスの両面から分析することから、偏りのない客観的な分析ができることで知られている手法です。

3.増収を狙うなら収入の柱を複数持つことがポイント

現在経営している歯科医院で増収を狙うならば、複数の収入の柱を持つことがポイントです。収入の柱となるサービスを複数展開することで、増収だけでなくリスク分散もできます。

まずは、歯科医院の周辺に住んでいる患者のニーズを調べて、来院機会につながるサービスを考えてみましょう。

たとえば、外出する時間がない・高齢で通院ができない患者が多いなら、オンライン診療に対応するという案が考えられます。従来の入れ歯やブリッジの保険診療だけでなく、自由診療のインプラントを導入するのも、増収が期待できます。

加えて、歯科医院でも積極的に導入したいのが医療DXです。ITの力を取り入れると業務の効率化が可能になるだけでなく、患者にとっての利便性も向上します。経営目標や地域柄に合わせて、柔軟な運営を目指しましょう。

オンライン診療や歯科医院のDXについては以下でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

「歯科医院のオンライン診療は医療行為に該当する?メリットや手順も解説」

「医療DXが実現する歯科医院の5つの未来とは?現状と取り組み例も」

4.まとめ:歯科医院の差別化にマーケティングは必須

歯科医院で考えるべき8つの差別化要素を紹介しました。立地や規模については開業後の操作が難しいですが、その他の要素は努力次第で改善が可能です。

他院との差別化を考えるときには、マーケティングの分析手法を使うのがおすすめです。3C分析や4P分析、SWOT分析などを用いて、自院の強みを見つけていきます。他院との差別化を行い、集患・収益アップを目指しましょう。

  1. 日本歯科医師会「歯科医療に関する生活者調査​​」 ↩︎
  2. 日本歯科医師会「歯科医療に関する生活者意識調査」 ↩︎
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