2024.04.26
経営
2024.03.15
経営
「歯科医師の開業医の平均年収は?」
「開業医と勤務医では、どのくらい年収が違う?」
歯科医師を目指している人の中には、上記の疑問を抱いている人もいるでしょう。
歯科医師の年収は約600〜1,400万円だといわれています。年収の幅が広い理由は、同じ歯科医師であっても年齢や勤務地、勤務形態などによって年収が大きく異なるからです。
そこで本記事では、歯科医師の平均年収を年齢・性別・地域に分けて解説します。開業医と勤務医の違いや年収を上げるポイントも解説するので、歯科医師を目指している人は必見です。
歯科医師の年収は約600〜1,400万円です。厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると歯科医師の平均年収は810.4万円ですが、年齢や病院の規模、役職などによって大きく幅があります。1
ここでは、以下の3つの種別に分けて歯科医師の平均年収を解説します。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」をもとに、歯科医師の年齢別の平均年収を以下の表にまとめました。
年齢 | 平均年収 |
〜19歳 | ‐ |
20〜24歳 | 約215.2万円 |
25〜29歳 | 約464.3万円 |
30~34歳 | 約666.7万円 |
35~39歳 | 約996.4万円 |
40~44歳 | 約1031.8万円 |
45~49歳 | 約1254.6万円 |
50~54歳 | 約1085.0万円 |
55~59歳 | 約1209.8万円 |
60~64歳 | 約1047.5万円 |
65~69歳 | – |
70歳~ | 約585.1万円 |
年齢別で見ると平均年収が最も高くなるのは45〜49歳であることが分かります。歯科医師として働き始められるのが最短で25歳からであるため、研修中である24歳時点での年収は給与所得者の平均年収458万円よりも低いです。
25歳以降は徐々に平均年収が上がり、給与所得者の平均年収よりも非常に高い収入を得られます。
また、医師免許には定年がないため、60歳以降でも治療技術が衰えていなければ高い給与水準での勤務が可能です。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに歯科医師の男女別の平均年収を、以下の表にまとめました。表にまとめたのは、令和2年〜令和4年のデータです。[注1参照]234
男性 | 女性 | |
令和2年 | 約831.4万円 | 約675万円 |
令和3年 | 約873.4万円 | 約538.4万円 |
令和4年 | 約793.8万円 | 約878.1万円 |
年によってばらつきはありますが、令和4年度の平均年収は女性歯科医師の方が高いという結果でした。女性歯科医師の平均年収が男性と変わらない水準まで上がったのは、労働環境の変化と女性歯科医師の増加によるものでしょう。
平成28年に日本医師会が行った調査によると、子どもがいる女性歯科医師の62.6%が歯科医業からの離職経験があると答えています。5つまり、平均年収がピークを迎える年齢になる前に歯科医を辞めてしまうため、平均年収が男性よりも低くなっていたということです。
出産育児を終えてからでも仕事に復帰しやすい社会への変化や歯科医師を目指す女性が増加したことが考えられます。
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」から都道府県別の歯科医師の平均年収を高い順に並べました。なお、統計データがない地域を除いた38都道府県の結果です。[注3参照]
都道府県 | 平均年収 |
富山県 | 約1,825万円 |
長野県 | 約1,777万円 |
大分県 | 約1,503万円 |
千葉県 | 約1,453万円 |
群馬県 | 約1,442万円 |
宮城県 | 約1,440万円 |
滋賀県 | 約1,354万円 |
愛知県 | 約1,258万円 |
京都府 | 約1,164万円 |
三重県 | 約976万円 |
島根県 | 約956万円 |
岐阜県 | 約951万円 |
栃木県 | 約922万円 |
静岡県 | 約912万円 |
高知県 | 約875万円 |
埼玉県 | 約859万円 |
福井県 | 約837万円 |
大阪府 | 約830万円 |
山形県 | 約824万円 |
新潟県 | 約820万円 |
山口県 | 約797万円 |
石川県 | 約777万円 |
岡山県 | 約724万円 |
秋田県 | 約691万円 |
佐賀県 | 約679万円 |
香川県 | 約672万円 |
徳島県 | 約668万円 |
福岡県 | 約653万円 |
奈良県 | 約651万円 |
広島県 | 約643万円 |
愛媛県 | 約634万円 |
青森県 | 約633万円 |
熊本県 | 約629万円 |
東京都 | 約626万円 |
兵庫県 | 約598万円 |
北海道 | 約565万円 |
神奈川県 | 約549万円 |
福島県 | 約512万円 |
地域によって労働者数(サンプル数)が大きく異なるため、平均年収に差が生じています。データに使用されたサンプル数が少なければ平均値からかけ離れてしまうケースもあるので、あくまで参考値として覚えておきましょう。
医者の勤務形態は、自ら医療機関を経営する開業医と、病院で雇用される勤務医の2種類です。歯科医師も同様に2種類の勤務形態があり、年収も異なります。
歯科医師における開業医と勤務医の勤務形態の違いと平均年収について詳しく見ていきましょう。
開業歯科医師とは、自分で歯科医院やクリニックを経営している歯科医師です。自ら資金調達して1から開業するパターンと、親の後をついで経営するパターンがあります。
一方で勤務歯科医師とは、歯科医院やクリニックなどに雇用されている歯科医師です。医療法人や大学病院、歯科医院などさまざまな勤務先があります。
両者の大きな違いは、業務における役割です。勤務医の場合、雇用条件に基づいて歯科医師としての業務をこなし、給与を毎月雇用先から受け取ります。経営に関する業務は必要ありません。
開業医の場合は、歯科医師としての業務だけでなく医院の経営者としての役割も果たさなければなりません。例えば、人材の採用や毎月の経理業務が挙げられます。治療技術だけでなく、売上を最大化させる経営能力や組織を動かすマネジメント能力が必要です。
厚生労働省の「医療経済実態調査(医療機関等調査)」によると、2022年度の個人開業歯科医院の損益差額は1,238万円でした。[注5参照]損益差額は売上から経費を引いて残る利益のことで、単純に言うと経営者の取り分を意味します。
年によって平均値のばらつきがありますが、開業医の平均年収は1,200〜1,400万円程度の場合が多いです。ただし、損益差額は開業医(院長)の報酬以外に建物や設備の管理費なども含んでいます。施設の規模や地域、経験年数によっても損益額が変わるため、あくまで参考値として考えましょう。
2022年の勤務歯科医師の平均年収は810.4万円でした。[注1参照]年によって平均年収にばらつきがあり、およそ600〜900万円程度を推移しています。開業医(院長)とデータの金額だけを比較すると、勤務歯科医は開業医の平均年収50〜75%程度だといえるでしょう。
勤務歯科医同士を比べても、病院や診療所など施設の規模における給与体系や年齢、性別によって年収が異なります。
令和4年度の厚生労働省の調査では企業規模が10〜99人の施設で年収が約815万、100〜999人だと約903万円、1000人以上になると約753万円でした。[注1参照]
歯科医師が年収を上げる方法は、以下の2つです。
それぞれ詳しく解説します。
勤務医としてキャリアを積んでいけば、堅実に年収アップを目指せます。歯科医師として働き始めた25〜29歳の平均年収は約464.1万円ですが、順調にキャリアを積めば40代で1,000万円以上の年収まで上がります。
令和4年度の給与所得者の平均年収は458万円です。日本ではピークの年収でも1,000万円を超える企業は、多くありません。安定して高収入を得るためには、さまざまなスキルを磨いて病院内でキャリアを積んでいくことが大切です。
歯科医師としてより積極的に高年収を狙う場合は、開業するのが一番です。売上に応じて医院長の報酬額も増えるため、経営が軌道に乗れば勤務医の何倍もの収入を手に入れられるでしょう。
2020年の厚生労働省の調査によると、全歯科医師の半数以上が開業医として働いています。6しかし、すべての開業医が勤務医の何倍も稼いでいるわけではありません。
開業は収入アップや自分で治療方針を決められるなどのメリットがありますが、失敗するリスクもあります。歯科医院が溢れている現代で開業を成功させるためには、治療技術だけでなく経営能力やマネジメント能力などのさまざまなスキルが必要です。
歯科医院の開業に失敗したくない方は、以下の記事もご覧ください。開業に失敗しないためのポイントを詳しく解説しています。
歯科医師の年収は約600〜1,400万円です。年齢や地域、勤務形態によって平均年収は異なりますが、どの年代でもほかの仕事と比較して高水準であるのは間違いありません。
歯科医師としてさらに年収を上げるためには、勤務医のキャリアを積むか開業するかの2パターンです。勤務医として着実に年収を上げるか、開業医に挑戦するかは慎重に選択する必要があります。歯科医師は自分のスキル次第で、性別に関係なく年収を上げられる職業です。
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