2023.12.13

医療

歯科医院のオンライン診療は医療行為に該当する?メリットや手順も解説

「オンライン診療は医療行為に該当するの?」

「オンライン診療を行うメリットや実施方法がわからない」

2020年より国内で流行した新型コロナウイルスの院内感染を防ぐため、オンライン診療が認められるようになりました。

この記事では、オンライン診療がそもそも医療行為に該当するのか、メリットや実施方法を解説します。オンライン診療の実施を検討されている歯科医院様は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 歯科医院のオンライン診療は医療行為にあたる
  2. 歯科医院がオンライン診療を導入するメリット3選
    •  2-1 業務効率化が期待できる
    •  2-2 患者の負担を軽減できる
    •  2-3 会計業務がスムーズに行える
  3. 歯科医院のオンライン診療の手順を4STEPで解説
    •  3-1 STEP1.導入前の準備
    •  3-2 STEP2.予約の受付
    •  3-3 STEP3.オンライン診療
    •  3-4 STEP4.オンライン診療後
  4. 歯科医院がオンライン診療を導入する際の注意点
  5. まとめ:歯科医院にオンライン診療を導入して業務を効率化しよう

1.歯科医院のオンライン診療は医療行為にあたる

結論を言うと、歯科医院のオンライン診療は医療行為に該当します。厚生労働省によると、オンライン診療は以下の通り定義されています。

「医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。」1

従来、初診は原則対面での診療が義務付けられていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、オンライン診療を利用するための条件が変更されました。2

対象となる利用者が増えたことで、歯科医院での電話や電子機器によるオンライン診療の導入が広まっています。オンライン診療が可能になったことで、通うのが難しい患者も診療できるようになりました。

さらに、予約管理のシステム化や会計処理のスムーズ化により、医院内の業務効率化も期待ができます。

2.歯科医院がオンライン診療を導入するメリット3選

歯科医院でオンライン診療を導入するメリットは、以下の3つです。

  • 業務効率化が期待できる
  • 患者の負担を軽減できる
  • 会計業務がスムーズに行える

それぞれ詳しく解説します。

2-1 業務効率化が期待できる

オンライン診療なら患者の診察待ちや会計待ちがなくなるので、業務の効率化が期待できます。初診では、問診表を院内で記入するのが一般的ですが、オンライン診療であれば、スマホで事前提出が可能です。

以上のように、診療にあたって生じる手間を減らせるため、効率よく患者の診察を行えます。診察の効率化は、歯科医院の収益向上につながる可能性があります。

2-2 患者の負担を軽減できる

オンライン診療は通院時間の短縮や感染の予防など、患者の負担を軽減できます。通院する人の中には高齢者や足腰が弱く移動自体に負担がかかる人も多いでしょう。通院が難しい人でも、オンライン診療なら体に負担をかけずに診療を受けられます。

また、患者が歯科医院まで通う必要がないため、交通費や時間の節約につながります。そのため、患者にとっても有益なシステムと言えるでしょう。

2-3 会計業務がズムーズに行える

オンライン診療では、診察後にクレジットカードで支払うのが一般的です。また、会計の待ち時間もないため、会計に時間を取られる心配がありません

キャッシュレス決済は、現金のやり取りがないため、感染リスクも抑えられます。会計業務の効率化により、歯科医院側にとってもスタッフの負担を軽減することができます。

3.歯科医院のオンライン診療の手順を4STEPで解説

オンライン診療を実施するには、導入前後で準備が必要です。オンライン診療を行う方法を以下のステップ別で解説します。

  1. STEP1.導入前の準備
  2. STEP2.予約の受付
  3. STEP3.オンライン診療
  4. STEP4.オンライン診療後

順を追ってみていきましょう。3

3-1 STEP1.導入前の準備

オンライン診療を導入するには、厚生労働省が定めたマニュアルに沿って対応をする必要があります。電話や電子機器(スマホやPC)で診療を行う場合は、都道府県の窓口にて届出の提出が必要です。必要な項目は、以下の2点です。

  • 対面診療が必要な場合の医療機関の紹介可否、及び医療機関名の記入
  • ホームページ上で対応可能な時間帯や予約方法の明記

※トラブル対策として、症状によっては対面診療になる可能性がある旨を明記

電話か電子機器かによって必要事項が若干変化するので、厚生労働省の案内をよく確認しましょう。届出が無事に受領されれば、オンライン診療の導入が可能です。

3-2 STEP2.予約の受付

予約の受付手順は、電話と電子機器で少し異なります

電話の場合の手順は、以下の通りです。

  1. 症状によっては対面診療を勧める場合がある旨を伝える
  2. 患者の被保険証の写しをFAX、またはデータ形式でメールにて送付してもらう
  3. 支払方法を確認する
  4. 予約完了

電子機器の場合は、以下の手順で対応します。

  1. 症状によっては対面診療を勧める場合がある旨を伝える
  2. 事前に被保険証情報を入力してもらい、受給資格を確認する
  3. 問題なければ、支払方法の確認を行う
  4. 予約完了

違いとしては、被保険者情報の確認方法にあります。大きな違いはありません。

3-3 STEP3.オンライン診療

予約時間になったら、事前に確認していた電話番号へ電話、またはテレビ電話等で患者と接続を行います。電話であれば、症状を確認して診断を行い、対面受診が必要であればその旨を伝えます。

アプリやテレビ電話であれば、患者は顔写真付きの身分証明書、歯科医師は歯科医師免許書の提示が必須です。証明が無事に完了すれば、診断を開始します。電話同様、症状を確認して診断を行い、対面受診が必要であればその旨を伝えます。

なお、オンライン診療で対面受診を推奨するという判断で診療が終了した場合、診療報酬は算定できないので注意しましょう。

3-4 STEP4.オンライン診療後

無事にオンライン診療が完了したら、処方箋の発行手続きに移ります。電話、電子機器ともに手順は以下の通りです。

  1. 患者が希望する薬局へ処方箋情報をFAXで送付する
  2. 患者へ領収書と明細書をFAXや電子メール、郵送で交付する

患者が電話で服薬指導を希望する場合は、備考欄に「0410対応」と記載し、薬局へFAXを送付します。初診の患者が診療を行った場合、都道府県庁が発行している調査票に必要事項を記入し、月に1度報告する必要があります。

なお、決済システムPay Lightでは、決済フォームを患者に送信してスムーズに決済が可能です。支払い方法もクレジットカード・口座振替・ローン・PayPayと幅広い選択肢から患者に合った方法を選んでもらえます。

4.歯科医院がオンライン診療を導入する際の注意点

オンライン診療にはさまざまなメリットがある一方で、注意すべき点が3つあります。

  • 特に高齢者などでスマホやPCに不慣れな人がいる
  • 治療の範囲が限定される
  • セキュリティ対策が必要

オンライン診療ではスマホやPCを使うケースが多く、扱いに不慣れな高齢者が利用できない場合があります。使い方の説明を行うなど対策を取りましょう。

また、患者と対面で診療する場合とは異なり触診や医療機器を使用できないので、診断内容が限られてしまいます。そのため、患者が症状を上手く伝えられるための準備が必要です。

オンライン診療はインターネットを通して診療を行うため、情報漏洩を回避するためのセキュリティ対策も必要です。

5.まとめ:歯科医院にオンライン診療を導入して業務を効率化しよう

オンライン診療を実施すれば、診療の待ち時間や会計時間の短縮ができ、業務の効率化に役立つ

でしょう。患者にとっても移動時間や交通費の節約ができます。

歯科治療は医療行為にあたるので、厚生労働省が定めたルールを正しく理解して実施しましょう。

歯科医院と患者の双方にとってメリットがあるので、ぜひ検討してみてください。

  1. 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」 ↩︎
  2. 厚生労働省「歯科診療における新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」 ↩︎
  3. 厚生労働省「医療機関が電話やオンラインによる診療を行う場合の手順と留意事項」 ↩︎