2023.12.13

テクノロジー

レセプトオンライン請求は義務化の流れに!必要な手続きやメリットを解説

「レセプトオンライン請求ってどんな仕組み?」

「レセプトオンライン請求をするメリットは?」

上記のような悩みを抱いている人もいるでしょう。

レセプトオンライン請求は、レセプトデータを紙や電子媒体ではなく、オンライン上で請求する方法です。安全性が高く、事務コストを減らせるので、業務効率化が期待できます。

この記事では、レセプトオンライン請求に必要な対応のほか、請求の流れやメリットを解説します。オンライン請求の重要性を理解できるので、ぜひ最後までお読みください。

目次

  1. レセプトオンライン請求は2024年10月から義務化の方針
  2. レセプトオンライン請求に必要な5つの対応
    •  2-1 レセプト電算処理システムへの対応
    •  2-2 オンライン請求用のパソコン
    •  2-3 安全なネットワーク回線
    •  2-4 セキュリティ対策
    •  2-5 審査支払機関への届出作成・提出
  3. レセプトオンライン請求の流れ
  4. レセプトをオンライン請求するメリット5選 
    •  4-1 休日でもレセプト請求ができる
    •  4-2 レセプトの事前チェックができる
    •  4-3 既存の請求方法に比べて安全性が高い
    •  4-4 データをオンライン上で扱えるため管理がしやすい
    •  4-5 確認試験を月に複数回実施できる
  5. まとめ:レセプトオンライン請求を利用して業務を効率化しよう

1.レセプトオンライン請求は2024年10月から義務化の方針

令和5年の社会保障審議会において、レセプトオンライン請求への完全移行に向けたロードマップが承諾されました。1オンライン資格確認を導入している医療機関・薬局が、2024年9月末までにオンライン請求への完全移行を目指すとされました。

レセプトオンライン請求とは、保険医療機関・保険薬局がオンラインで診療報酬を請求する仕組みです。審査支払機関と全国規模で構築されたネットワークを利用することで、従来の郵送や持参などでの請求よりも効率的かつ安全に請求できます。

レセプト請求がスムーズに行えるだけでなく、人為的なミスや作業コストの軽減も期待できます。

2.レセプトオンライン請求に必要な5つの対応

レセプトオンライン請求をする際に必要な対応は、以下の5つです。

  • レセプト電算処理システムへの対応
  • オンライン請求用のパソコン
  • 安全なネットワーク回線
  • セキュリティ対策
  • 審査支払機関への届出作成・提出

それぞれ詳しく解説します。

2-1 レセプト電算処理システムへの対応

レセプトオンライン請求を行うには、レセコンがレセプト電算処理システムに対応していなければなりません。レセプト電算処理システムとは、診療報酬を紙ではなく、オンライン上で請求するシステムです。

これからレセコンを導入する場合は、電算処理に対応している製品を選びましょう。昔から使っているレセコンの場合は、電算処理に対応しているかを確認する必要があります。

2-2 オンライン請求用のパソコン

オンライン請求用のパソコンも用意する必要があります。レセコンとして使用しているパソコンとの兼用も可能です。

普段インターネットを閲覧しているパソコンでも問題ありませんが、セキュリティを考慮すると専用のパソコンを用意するのが望ましいです。レセプトは重要な個人情報を扱っているので、情報漏洩やデータ消失のリスクに備えなければなりません。

2-3 安全なネットワーク回線

レセプトデータを審査支払機関に送信するための、安全なネットワーク回線を用意しましょう。

厚生労働省は、以下の3つの接続方式を推奨しています。

  • ISDN回線を利用したダイヤルアップ接続
  • 閉域IP網を利用したIP-VPN接続
  • IPsecとIKEを組み合わせた接続

使用している回線の種類によって、選択する接続方式が変わります。上記3つの接続方式であれば、大きな優劣はないので、導入する医療機関に最適な方法を選びましょう。

2-4 セキュリティ対策

レセプトオンライン請求のために行うべき、主なセキュリティ対策は以下の通りです。

  • 「安全対策の規程」の策定 
  • 利用規約への同意
  • 電子証明書の取得

まずは、厚生労働省のガイドラインに沿った「オンライン請求システムに係る安全対策の規程」の策定が必要です。策定例は厚生労働省から示されているので、参考にしてください。

加えて、審査支払機関の「オンライン請求システム利用規約」への同意と、電子証明書の発行を行いましょう。

2-5 審査支払機関への届出作成・提出

ここまでの準備が整ったら、支払基金支部および国保連合会に届出を提出しましょう。届出書類を、以下の表にまとめたので、ご覧ください。

届出書類提出先
電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出支払基金支部・国保連合会
電子証明書発行依頼書支払基金支部

毎月の締切日は20日なので、不備のないように提出しましょう。

3.レセプトオンライン請求の流れ

レセプトオンライン請求の流れは、まず医療機関・薬局からレセプトデータを取り込み、オンライン請求システムに送信します。審査支払機関は、送信されたデータを受け付け業務処理を行います。審査結果は、増減点連絡書データなどとして医療機関・薬局に送信されます。
また、2023年4月から「返戻に基づくレセプト再請求」もオンラインで実施できるようになりました。請求の流れは、以下の図の通りです。

紙媒体での返戻は、2024年度中に廃止される予定なので、注意が必要です。医療DXなどにより医療機関のデジタル化が急速に進むことも予想されるので、早めに対応できる準備を整えましょう。

4.レセプトをオンライン請求するメリット5選

レセプトをオンライン請求するメリットは、以下の5つです。

  • 休日でもレセプト請求ができる
  • レセプトの事前チェックができる
  • 既存の請求方法に比べて安全性が高い
  • データをオンライン上で扱えるため管理がしやすい
  • 確認試験を月に複数回実施できる

それぞれ詳しく解説します。

4-1 休日でもレセプト請求ができる

オンライン請求は休日でもできるため、平日の事務作業負担を軽減できます。従来のレセプト請求との違いを、以下の表にまとめたので、ご覧ください。

請求方法期限請求可能な曜日時間
オンライン請求毎月10日まで月〜日曜日5〜7日 21時まで8〜10日 24時まで
紙や電子媒体による請求毎月10日まで月〜金曜日月〜日曜日

曜日だけでなく時間も延長されているのは、請求業務を担う人にとって嬉しいポイントです。

4-2 レセプトの事前チェックができる

オンライン請求では、受付・事務点検ASPを利用して、レセプトを事前にチェックできます。受付・事務点検ASPとは、支払基金の事務点検プログラムを利用して、レセプト情報の確認・修正ができるサービスです。

受付・事務点検ASPによって、人為的なミスによるレセプトの再提出を防止できるため、事務作業の効率化が期待できます。

4-3 既存の請求方法に比べて安全性が高い

オンライン請求は、セキュリティ対策されたネットワーク回線を介して診療報酬を請求しているので、安全性が高いです。既存の請求方法では、紙や電子媒体でのレセプトなので、破損や紛失が起こる可能性がありました。

レセプトは重要な個人情報を扱っているデータなので、より安全に請求ができるのは大きなメリットです。

4-4 データをオンライン上で扱えるため管理がしやすい

オンライン請求では、審査後の増減点連絡書や返戻レセプトをデータでダウンロードできます。データとしてオンライン上で管理できるため、管理負担や紛失リスクを軽減できるでしょう。

オンライン上であれば、データを見返す際にもすぐに検索が可能なので、業務の効率化にもつながります。紙の印刷が不要になるので、用紙やインク代のコスト削減も見込めます。

4-5 確認試験を月に複数回実施できる

オンライン請求の確認試験は、毎月5日から月末まで何度でも実施可能です。確認試験とは、レセプトが形式に沿って作成されているかどうかを、請求前に確認するための試験のことです。

電子媒体による確認試験は月に1回しか実施できませんでした。オンライン請求であれば必要に応じて試験を実施できるので、エラーやミスの防止に役立ちます。

5.まとめ:レセプトオンライン請求を利用して業務を効率化しよう

レセプトオンライン請求は、従来の紙や電子媒体による請求よりも手間が少なく、安全性が高いです。請求できる時間も延長され、管理コストも減るので業務効率化がはかれるでしょう。

導入するまでに多少の準備が必要ですが、今後医療業界にもデジタル化が推進されることを考慮すると早めの移行がおすすめです。

レセプトオンライン請求を利用して、これまでの事務コストを削減し、業務を効率化しましょう。

  1. 厚生労働省「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ」 ↩︎
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