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経営
2024.04.05
経営
歯科医院の開業は、多くの歯科医師にとって夢でありながら、同時に多くの課題と不安を伴うものです。開業準備の段階から実際にクリニックを運営するまで、どのような困難が待ち受けているのでしょうか?また、成功への鍵はどこにあるのでしょうか?
本インタビューでは、開業4年半を迎えたヘルシーライフデンタルクリニックの手塚先生に、開業のきっかけ、準備期間の苦労、医院運営のコツ、そして未来の展望について、赤裸々なお話を伺いました。開業を考えている方はもちろん、現在医院を運営されている方にも参考になる内容ですので、ぜひご一読ください。
ー 今、手塚先生は開業されて何年くらいですか。
手塚 充樹院長(以下:手塚):今、開業して4年半ぐらいですね
ー 医院もとても綺麗ですが、4年半くらいということは、開業したてではないですよね。歯科医師になられたときから、いつかは開業するんだっていう気持ちは、自分の中でお持ちになっていましたか?
手塚:そういうことはなかったですね。なりたての頃はそこまで開業に対する意識は強くなかったです。むしろ、最初は大学病院に行き、研究というところにちょっと触れてみたいなという思いで研究と臨床を両方やっていました。ですからそのときは開業は深く考えていなかったんですが、いろんな勉強会に出席するようになり、地域の歯科医院で臨床をやり始めてから、歯科治療の限界や、良い歯科治療と悪い歯科治療の違いであったりなど、本質的なところが見えてきたんです。その時に、「患者さんの体から口を見ていく」という本質を突いた歯科診療をやりたいという気持ちが強くなってきました。ただそれはなかなか勤務医では難しい。となるとこの診療体制は自分で作らないとできないなと思うようになり、これは開業しないとできないから開業したという感じになりますね。それができないんだったら歯科医師を辞めよう、やっていても意味がない、というくらいやりたいことへの思い入れがありました。
ー それはおいくつのときですか?
手塚:おそらく開業する4年前ぐらいのことですかね。
ー そうだったんですね。開業はしようと思ってすぐできるものではないと思いますが、先生の場合、準備期間にはどれぐらいかかりましたか?
手塚:4年ぐらいかけてやっていたと思いますよ。目指すべきゴールみたいなものは4年前の自分のスケジュール帳に書いてあって、その通りのことが、開業後に結構起きてます(笑)予言みたいな感じで。
ー ゴールとはどういうことですか?
手塚:要するに、唾液とか血液とかを採取して、全身の状態を評価し、口腔の状態に活かせるはず、とかその他ではスタッフのこととか、色々と想像を膨らませて書いたことがあるんですが、そういった内容が実現しているなと後で気づいたりしています。そうした中で逆算すると、3年とか4年かけてこんな感じにできたらいいなとイメージして、そのために必要な勉強を追加していったという感じです。
ー なるほど。開業ために必要なことや、どういう医院にするのかなど考えなくてはいけないことは多いと思うんですが、手塚先生にとって一番大変だったことはどんなことだったのでしょうか?
手塚:家族を説得すること、父の説得が一番大変でしたね(笑)開業するにはどうしても多くの資金が必要になりますが、親は借金というものに慣れてない世代なのかなと思うんです。ですから「借金して始めるなんて!」という感じになりがちで・・・結局は借金といっても自己責任なんですけどね。
ー なるほど。とはいえ最低5000万ぐらい・・・場合によってはそれ以上かかるというところを全て自己資金はほぼ不可能かなとも思いますね。
手塚:あとはそうですね、ここからすぐの所(新橋)で現在も父が歯科医院をやってるんですよ。そこを後々私が継ぐようなストーリーが父の中にあったんですね。でも自分で開業するということは継がないということになりますから、その辺りは説得というか、話し合いは必要になるところでした
ー そうなんですね。とはいえ、おそらく楽か楽じゃないかといったら、金銭的負担を考慮すると、引き継いだ方が楽ですよね。それでも手塚先生には実現したい医院のカタチがあったということですか?
手塚:使命感というか、自分は何者なんだみたいなことを考えた時に、仕事の内容が理想の形になっていなければ仕事が嫌になってしまうなと思ったんです。親から与えられたものをただ受け取りながら、自分がやりたくない診療を、やりたくないと思いながらやるぐらいなら、辞めたほうがいいかなと考えていました。
あとは少し医院のシステム面でのお話になりますが、診療体系やお会計の仕方とかも院長独特の手法がたまに入ったりして、そのあたりも含めてトータルで患者さんの満足を得るような部分もありました。他のドクターが真似しづらいような仕組みを取っていたんです。つまり一般化されたルールじゃない中で経営をしている医院だったので、引き継ぐためのハードルが高すぎたというのも理由の一つです。
ー 手塚先生がやりたかった医院の体系とは具体的にどんなものでしょうか?
手塚:具体的に言うと、初歩的な部分では「患者さんの写真とかデータをちゃんと取っていく」ということです。これってやらない歯科医院さんも結構あるんですよね。歯周病の検査をしない歯科医院さんとかもありますし、口腔内の写真を撮らない歯科医院さんもあります。でもそういったデータを大事にしてきっちり管理していくべきというのは自分の中にありました。
そういったデータのベースができてくると、次に唾液のデータや血液のデータなど人によって色々なデータが追加されていきます。それを総合的に判断して、その人ごとに定期検診のペースだったり、あとはサプリメント、歯磨き粉・研磨剤のような物販でおすすめする物の内容、あとは治療計画も全部そうです。さまざまなデータと照らし合わせながらその人に合った診療や治療を提案することをしたかったんです。
たとえば、うちの医院の問診票は少し変わっているんですが、足がつりやすいとか、眠りの質、疲れが溜まっているなど全身の症状についてチェックしてもらう項目が多くなっているんです。というのも、口の状態は、全身や栄養状態などともリンクして症状が出ることがあるんです。そういうところも見て、またその人のバックグラウンドのデータとその人の口腔データとも照らし合わせて考えて、その人の診療ペースを作ることが大切だと思っています。
ー そういう歯科医院さんはあまり見たことがありません。それは自分の医院を開くとき、開業すると決めたときからやりたいことだっていうことで決めていたんですか?
手塚:問診票は自分でアレンジして開業してから作りましたけど、やりたいことには沿っていたかなとは思いますね。
— 手塚先生のようにみなさん明確なビジョンを持って歯科医院を開業されることは普通なのでしょうか?それとも、とにかく「開業」が先立っているのでしょうか?
手塚:よくあるパターンだと、数年やって腕がついてきたから「ちょっと自分の店を出してみようかな」みたいな発想の人が多い気はしますね。明確にビジョンを決めて、そのビジョンを実現するために歯科医院を作るというのが多分理想ではあると思うんですよ。ただそんなに多くはないんじゃないですかね。自分の後輩の雰囲気を見ていても、歯科医師として何か特別な「勤務医じゃできないことがあるから開業する」みたいな発想の人は少ない気がします。
ー なるほど、しっかりと自分の想いとビジョンがあると迷わないでしょうし、開業に関しても考えに芯があるといろんなことが早く決まっていきそうですね。
手塚:そうですね。院内の内装の雰囲気なども含めて、そのコンセプトが自分の中で明確だと色とかもすぐ決まりましたし、いろんなことに対して一貫して通しやすくはなります。
ー 一貫したビジョンがあるということは経営面においても重要なことだと思います。
手塚:別の言い方をするとブランディングという言葉になるかもしれないですね。それ以外で言うと理念とかパーパスとかビジョンとかミッションとか、そういったものと近似してくるのかなとは思うんですが、理念をわかりやすく伝えるキャッチコピーみたいものを作っておくと良いのかなと思います。うちの医院でいうと「口から未来は明るく美しく」って言うフレーズがあるんですが、それに向けてスタッフみんなで動いてこうとスローガンの役割も持ちますし、YouTubeチャンネルとかでも、そういうフレーズを入れていくことで、イメージが人に対して伝わりやすくなるかなと思います。
→ 後編に続く
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